令和の薫り「フジバカマ」

フジバカマ,アサギマダラ

フジバカマ(藤袴)という植物がある。
もともと日本古来からある植物で、秋の七草でもあるが、実は絶滅危惧種で原種を見ることはほとんどできない貴重な植物です。

 

古来より日本人に愛されてきた植物で、年号「令和」の由来となった万葉集 梅花の歌 三十二首の序文にも記されている。

 

初春の令月れいげつにして
氣淑きよ風和かぜやわら
梅は鏡前きょうぜんひら
蘭は珮後はいごこうかおら

 

「蘭は珮後はいごこうかおらす」とある「蘭」とは、フジバカマのことを指している。
現在、「蘭」の漢字は洋ランのことをさすが、もともとの「蘭」という漢字は、「薫る花」という意味で、フジバカマのことをしめす言葉だったとの説が有力です。

 

 

フジバカマ,アサギマダラ

フジバカマは、そのままでは香りはしないのだが、葉を乾燥させると 桜餅のような薫りがするようになります。

 

かつては、乾燥したフジバカマを袋に忍ばせて、匂袋にしていたようです。
上記万葉集の令和の序文にある「蘭の香」とは、フジバカマの匂袋のことをさしていたようです。

 

つまり「蘭は珮後はいごこうかおらす」とは、「フジバカマの匂袋が高貴な薫りをに漂わせている」という意味になります。

 

いわば、令和の匂袋 フジバカマですね。


フジバカマの薫りに誘われて来る 蝶々「アサギマダラ」

フジバカマ,アサギマダラ

そのフジバカマの薫りに誘われて集まる蝶々に、アサギマダラ(浅葱斑)という蝶がいる。黒羽にアサギ色(淡青白色)の半透明な斑紋をもつ美しき蝶でです。
日本の国蝶を認定するときに候補にあがった蝶でもあります。惜しくも国蝶にこそ選ばれなかったが、日本を代表する蝶の1つです。

 

アサギマダラの蝶の雄は、フジバカマ類の花の蜜しか吸わないという特徴がある。フジバカマが絶滅危惧種で数が少ないこともあり、フジバカマの花が咲いているところには、餌を求めて無数のアサギマダラの雄が乱舞することになる。

 

フジバカマの色香が蝶の雄を呼び寄せて、乱舞する姿は幻想的です。

 

アサギマダラは、渡りをする蝶として有名で、秋に東北のあたりから九州・沖縄を通って台湾まで、海を渡って旅をします。2500km以上を移動したという記録もある長旅をする蝶です。

 

 

アサギマダラの餌となるのが、フジバカマ類の花の蜜なのですが、フジバカマが絶滅危惧種ということもあり餌が不足している状態です。そのため、アサギマダラも絶滅しかかっている蝶となってしまっています。

 

通常の蝶であれば、どこか一か所に餌場を確保すれば保護できます。しかし、アサギマダラの場合は、渡り蝶なので、旅する経路に点々と何か所もフジバカマの生えている中継地・休息地を作らないといけないんですね。

 

日本各地にフジバカマを復活させることでしか、アサギマダラを保護する方法はないということになります。

 

古来より日本人に愛されてきた植物フジバカマ(藤袴)が、令和の薫りとして復活し、美しき蝶の保護にもつながることを願ってやみません。

 

(文責:山中しんじろう



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